◇君恋◇
そして神様は私にもっと意地悪をする。
「おい!待てよっ綾女!」
「い~や~!」
バンっ
ドアが力強く開く。
開けたのは私と同じくらいの女の子で
すっごく可愛い。
私はあまりにも突然だったので開いた口が塞がらなかった。
「ねえ龍也…この子誰?」
「あっ?お前には関係ない…」
「関係あるわ!私あなたの婚約者なのよ?!」
「おいっ綾女!」
婚・約・者?
私はその言葉の意味を理解するのに時間はかからなかった。
いつかはお別れしないといけないことを分かっていたからかもしれない。
ただ…こんなにはやくお別れしなきゃいけないなんて考えてもみなかったけど。
「悪い明…ちょっと綾女と2人にしてくれないか?」
「…」
「明?」
「あっうん!ごゆっくり綾女さん」
私はそう言って部屋を出ていった。
そして何も考えずにフラフラとした足取りで
龍也の家からも出ていった。