◇君恋◇
『ここどこ?』
そしてたどり着いたのは見たこともないような道で
人もあまりいなそうな所。
近くには小さな公園があって
私はそこに入るとブランコに座った。
「はぁ~」
何も言えずにため息。
ため息は良くないって言うけど
ため息つかずにはいられないよ…
「婚約者いるんじゃん…」
さっき流れなかった涙が急に溢れてくる。
私は泣くのを必死に我慢して上を見上げた。
「すごっ…」
思わず私は声を出してしまった。
だって空は赤色で染まっていて
本当に綺麗だったから。
今の気持ちには似合わないけど
少しだけ元気が貰えた気がした。
「これからどうしよ?」
ずっとここにはいれないとわかっているけど
龍也の家には帰りたくない。
それに道もわからないのだから
どこにも行けないのだ。