◇君恋◇
「服とか十分足りてるよ?…それに悪いよ」
「これから母さんとかと会う機会も増えるだろうし、まぁブランド物ぐらい持ってないと俺のプライドがな…プレゼントだと思えばいい…」
「そっか…ありがとう」
そうだよね!
やっぱり花園家にふさわしい人になるためには
ブランド物とか持ってないとね;
それに龍也の両親の前で恥かきたくないもん。
「別にふさわしいとかふさわしくないとか関係ないから」
「え?」
さっきまで外を見ていた龍也が
私のほうを見て心配するなというように言う。
「お前はお前のままでいい…ただやっぱり花園家としては必要なことなんだ…俺は今のお前が好きだから心配するな」
その言葉に私はいつもの茹でダコ状態。
龍也ったら高杉さんのいる前でなんてことを!
でも…本当はすっごく嬉しかった。
好きだなんて龍也に言われるとは思わなかったから。
私がもう一度龍也を見ると
龍也の顔は少し赤かった。
「もしかして…照れてる?」
「うるさい」
「すみません…」
絶対照れてるよ!
そう言いたかったけど
何をされるかわからない。
私は必死にこみ上げてくる笑いをこらえた。