◇君恋◇
私が鏡で全体を確認していると
「明」
カーテンの向こう側から龍也の声が聞こえた。
「着替えたか?」
「え?まぁ一応」
「開けるぞ」
「ちょっ…まっ…」
その言葉も虚しくカーテンは龍也の手によって開けられた。
「変かな?」
なぜかカーテンを開けたまま動かない龍也を見て私は聞いた。
よっぽど似合わないのだろうか?
「嫌…すごく似合ってる…」
「本当に?良かった」
気のせいだろか龍也の顔がほんのり赤くなっているのは。
何に照れてるのかわからなかったけど似合ってると言われただけで
私は十分に満足していた。
「じゃあこれ貰うよ。他にも何着か選んでくれ」
「かしこまりました」
それから私たちは軽いファッションショー。
私が試着したら龍也が見る。
それの繰り返しで私は少し疲れてしまった。