◇君恋◇



ようやく買い物が終わった。

時間はお昼を過ぎたころだろうか

さっきより日が出ている気がする。



「大丈夫か?」



龍也は私を心配してくれたみたいで

その優しさだけで十分元気になれた。



「大丈夫だよ」

「良かった。それよりどっか行きたいとこある?」

「遊園地に行きたい!」



私は即答した。

私はもし彼氏ができたら

一度は遊園地でデートしたいと思っていたんだ。



「遊園地…」

「ダメかな?」



私は背の高い龍也を上目遣いで見上げた。



「まぁいいだろう。その前に食事だ。何か食べたいのあるか?」

「冷たいもの食べたい。あのファミレス行かない?」

「ファミレス…」



龍也は私の指差した方を見て

少ししかめっ面になった。

私ったら、こんなお坊ちゃんにファミレスに行かない?だなんて

本当に馬鹿なんだから!

私は断るだろうと思い

どうしようか考えていた。




< 95 / 131 >

この作品をシェア

pagetop