死にたがりな君と、恋をはじめる
本音の対話
「ただいまー」
『ただいま~』
レイと揃って声を上げると、誠おばさんが駆け寄ってきてニコリと笑いかけられた。
「お帰り、奈月ちゃん。夕食の準備もうすぐでできるから、少し待ってくれる?」
「あ、うん。ありがとう」
私は頷くと、誠おばさんは私をしばらく見つめて、それから首を傾げた。
「奈月ちゃん……今日何かいいことでもあったの?」
「……え?」
突如として聞かれて、私は目を大きく見開いた。
誠おばさん……何で、そんなこと。
口に出してしまいそうになって、慌てて口を噤んだ。
危ない、危ない。
危うく話をする前に口に出してしまうとこだった。
覚悟ができたとしても、こんなとところで真面目な話はできないからね。
どう返すか迷ったけど、とりあえず誤魔化すかのように笑みを浮かべた。
「……まぁね。今日は嬉しいことがあったの」
「へぇ、そうなの! よかったねぇ」
ニコニコと笑って相槌を打つ誠おばさんに、私はドクドクとうるさい心臓の音を感じていた。
胸辺りの服をギュッとつかんだ。
……誠おばさんに、きちんと話さないと。
勇気を出すことは大切だ。
勇気を出すことで得られることは多いって、最近気が付いたんだ。
……それでも。