死にたがりな君と、恋をはじめる
変わらない日常
『おはよう、奈月。よく眠れた?』
「・・・うぅ」
目覚めてすぐ、至近距離で黒い瞳が見えて、小さくうなってしまう。
あくびをしつつ、うっすらと目を開けると、
目覚まし時計もとい、レイがにこりと爽やかな笑みを浮かべるのが目に入る。
私はしばしばとする目をこすりつつ、そいつを睨みつけた。
最悪の目覚めだ……。
なんで朝からこいつの顔を拝まないといけないんだ。
……いや、整った顔立ちではあるから、別に目に毒って程ではないけど。
レイの顔を見るとなんとなくイラついてしまうのは許してほしい。
……はー……。
現実を見たくない。
目が覚めたら、私は死んでいて、レイと会ったことも、全部夢だったらいいのに。
……なんて、実は思っていたりしたんだけど。
その願望も早々に打ち砕かれた。