死にたがりな君と、恋をはじめる
今まで私はそんな簡単なことにも気が付けなくて人を憎んで、本当に馬鹿みたいだった。
誠おばさんには余計な心配をかけたくないし、そのためにはきっと言わない方がいいのかもしれない。
だけど、私は言いたいんだ。
そう思ってしまったから、自分の気持ちに素直になろうと思って。
今すぐに言うことはできなくても、ずっと隠しておくなんて、したくない。
私が悩んでいることを解決させてから……学校の事を何とかさせてから、誠おばさんに全部、包み隠さずに言いたい。
……誠おばさんは、どんな反応をするんだろうか。
誠おばさんは実の娘のようには思っていないにしろ、大事に思われている……と思いたい。
だから、私が自殺しようとしていることを知ったら、止めてくれる……と、信じたい。
誠おばさんのあたたかな笑みを思い出していると、レイはこちらをじっと見つめた。
『――ってことはさ。奈月はもう死のうとは思っていないってこと?』
「え?」
確信をついたようなレイの質問に、心臓がドキリと波打った。
……それは正直言ったら、わからない。
今まで見たいに、何がなんでも死んでやるという気持ちはなくなった。それは事実。
だけど、だからと言ってこれからは前向きに生きていきますと言い切れるほどの自信はない。
今は大丈夫でも絶対にこれからしんどくなることはある。
その時に自殺したくなるかなんて、今はわからない。
そこまで考えて、私はレイに目線を合わせた。
「……わからない」
『え……』
正直に声を発すると、レイは少しショックを受けたように目を見開いた。
それから私はレイにフッと笑いかけた。
「でもね」
『え?』
私の明るい瞳に、レイは驚いたように小さく声を漏らす。