死にたがりな君と、恋をはじめる
私のそんな仕草に誠おばさんはぎょっと目をむき、絶叫する。
「え⁉ 本当に奈月ちゃん⁉ 本物⁉ え、どうしたの⁉ 最近だんだんと起きるの早くなってない⁉」
「お、おぅ……」
まくしたてられて、少し引いてしまって、苦笑いを漏らした。
確かに、朝が弱い私がこんなに早くに起きてきたら驚くよね……。
でも流石に驚きすぎでは?
私はそんな疑問を胸に抱きつつ、誠おばさんに笑いかけた。
「今日は学校行く前に行きたいところがあってね。おばさん、私の朝ごはんも一緒に作ってくれる?」
「もちろんいいけど。……どこに行くの? こんな朝早くに開いてるお店なんてコンビニくらいしかないと思うけど……」
首を傾げた誠おばさんに私は少し黙り、制服のネクタイを少し緩めた。
……どう答えよう。
正直に答えるのは、簡単だ。
でもそれだと、なぜそんなところに行くのか聞かれる可能性がある。
今日私がそこに行くのは学校での問題を解決させるためだから、それを今言うわけにはいかない。
いくら言うと決めていても、こんな、心の準備もなしには言えない。
「……神社に行こうと思って」
「神社?」
悩んだ末、正直に答えた私に、誠おばさんは目を丸くした。
「神社って……奈月ちゃん何か悩み事でもあるの?」
「いや?」
「え、じゃあ……何で?」
これまた想定していた質問に、私は動揺することなく受け答えした。
「ちょっと今日英語の小テストがあるから……今回準備不足で不安なんだよね。だから神頼みしようかと思って」
へらりと笑ってその言い訳を口に出すと、誠おばさんは意外そうに首を傾げた後さも面白そうに笑った。