イジメ返し―連鎖する復讐―
「ねぇ、センセ。来月の引退試合のメンバーもう決まってるんでしょ?」

「あぁ。咲綾抜きのいつもの5人で行く予定だ」

「ふぅん。咲綾のこと最後に一回ぐらいは出してあげるのぉ?」

「いや、ベンチにすら入れる気はないよ」

「……そうなんだぁ。でも、ちょっとそれは可哀想かも」

可哀想と言っているのに、微笑んで先生の話を聞いている瑠偉。

「俺のことを変態教師なんて呼んだんだ。自業自得だろう。それに、咲綾が変な言いがかりをつけてきたせいで瑠偉に誤解を与えて悲しませちゃったからな。俺が好きなのは瑠偉だけなのに」

「センセ、ホントに瑠偉のこと好き?」

「当たり前だろう。瑠偉のことが一番好きだ。だから、どんなことがあったって瑠偉のしてほしいようにするよ」

「ふふふっ。センセ、だーい好き!」

体育館の中で先生の首に抱きつく瑠偉を先生はためらうことなく抱きしめ返す。

あたしはギリギリと奥歯を噛みしめて漏れそうになる声を必死に堪えた。
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