イジメ返し―連鎖する復讐―
愕然とした。

一年の今は良くても先輩たちが引退してしまったらあたし達の中で一人レギュラーから洩れる人間が出てくる。

最悪なことに全員が経験者だという。

バスケのルールも分かっていないあたしが外れるのは火を見るよりも明らかだった。

背中に嫌な汗をかいた。

こういうほんの些細なキッカケで仲間外れになりイジメに発展することをあたしは身をもって経験していた。

どうしよう。どうしたらいいの。

同い年のメンバーを一人一人品定めしながら思う。

……そうだ。

そのときふとあることを思いついた。

大丈夫。まだあたしが外れると決まったわけじゃない。

それに……この中の一人からレギュラーを奪い取ればいいのだ。

そのあと、しばらくすると同学年の中でグループが別れた。

先輩たちと仲が良く発言力のあるノエルと瑠偉。

そして、中学時代から友達で穏やかで優しい性格の真子と美香。

そのどこにも属さずバスケに夢中になっている咲綾。

部内ミーティングのとき、意識の高い咲綾があれこれと発言することを先輩やノエルたちは嫌悪感丸出しの目で見つめていた。

そのとき思った。

咲綾からレギュラーを奪い取ってやろう、と。

だから、部内ではノエルと瑠偉と親しくすることで先輩たちにも取り入りそれなりにいいポジションを確保した。

そして、あたしはレギュラーの座だけでなく部内で確固たる地位を確立することに成功した。
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