イジメ返し―連鎖する復讐―
翌朝、学校へ向かう途中ふと目の前を歩く女子生徒に目がいった。

「あの子って……」

思わず声を漏らす。

後姿だけですぐに彼女だとわかるほどのオーラ。

無駄な贅肉の一切ない華奢な体。折れそうなほど細く長い手足。

艶のあるふんわりとした髪の毛。

すれ違った男子高校生たちが彼女に目を奪われている。

神宮寺エマ。

都内にでれば間違いなく芸能プロダクションからのスカウトの嵐が待っていることだろう。

……あの子をアップしたらどうなるだろう。

ドクンっと心臓が鳴る。

そうだ。いいことを思いついた。

あたしはポケットから取り出したスマホで彼女の後姿を撮影した。

「一回だけ使わせてもらおっと」

軽い気持ちで写真を投稿する。

【友達にとってもらった後姿!ダイエット頑張ってよかった!!】

今まで個人を特定される投稿は控えていた。

だけど、こんなチャンス滅多にない。

投稿するとすぐにいいね!の嵐だった。

めまぐるしいリツイート数に顔がほころぶ。

「ヤバっ。これ絶対バズるじゃん」

にんまりと微笑むとあたしは鼻歌交じりに学校へ向かった。
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