イジメ返し―連鎖する復讐―
「――ふざけんなよ」

ノエルの声のあと、パシンッと音がして頬にジンジンとした痛みが走った。

平手打ちされたのだと気付き、思わず頬を抑える。

「アンタ、自分が何したか分かってんの!?」

怒りに血走った目であたしを睨み付けると、ノエルはYシャツから手を離してあたしの腰に蹴りを入れた。

「……―ーいっ……」

思わずよろけるあたしをノエルは再び蹴り上げた。

「ごめん。あたし……――」

もう言い逃れることは無理だった。

あたしはその場に座り込み、ノエルと瑠偉に土下座した。

教室の中にいたクラスメイト達が騒ぎに気付いて廊下に出てくる足音がする。

「本当にごめん。ごめんなさい……」

あたしはおでこを床にくっつけて何度も謝った。

「あんな写真撮ってSNSで拡散しておいてごめんで済むわけないだろーが!!」

ノエルの低い声と同時に頭を何かに踏みつけられた。

グリグリと重みをかけられ顔を歪める。

「絶対に許さない」

おでこと後頭部の痛みに目の前に火花が飛ぶ。

ああ、もう終わりだ。全て何もかもが終わってしまった。

ノエルと瑠偉と長い間かけて必死に築いた友情が音を立てて崩れていくのを私は身をもって感じた。
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