イジメ返し―連鎖する復讐―
エマの後姿とノエルと瑠偉の下着姿の投稿は学校ですぐに消すように指示を受けて消しておいた。

でもまだアカウント自体は残っている。

今さら消したところでどうにかなるわけでもないけれど、反省の気持ちを示す意味でもアカウントは削除しておこう。

あたしのSNSは今も炎上中だった。

うちの学校の同学年の生徒はみんなこのアカウントがあたしであることを知っている。

だけど、先生たちの監視の目があることを恐れて書き込みする人はいない。

「ん……?」

そのとき、DMが届いた。

そのタイトルに思わず目を見開く。

【青葉中3年2組 長島海荷さんへ】

なにこれ。どうして……?

恐る恐るそのDMを開くと、画面にあたしの中学時代の卒アルの写真が映し出された。

どうして……。誰がこんなものを……。

二度と見たくなかった……。だから、卒アルも捨てたのに。

過去も全部捨ててやり直したのに。それなのに……。

【目には目を、歯には歯を】

写真にはそんな言葉が添えられている。

ハッとした。マズい。この写真をあたしのアカウントにアップされでもしたら、同中の人間にこのアカウントがあたしであることを知られてしまう。

この裏アカは絶対に見られたくない。

アカウントを削除しようとしたとき、通知が目に留まった。

【このアカウントの持ち主↓元青葉中3年2組】

DMを送ってきた捨てアカの人間があたしの卒アル画像をアップしていた。

【これ本物?陰キャすぎ】

【この子同中かも】

【長島うみか?】

【クラス全員からイジメられてた子だし】

【確かあいつ白浜高校じゃなかった?】

【青葉中3年2組 現白浜高校長島〇荷さん。陰キャのイジメられっこが調子に乗って裏アカで誤爆し人生終了しました】

顔中の筋肉が引きつれ、呼吸が荒くなる。

体中から一気に血が引いていくような感覚に思わず眩暈が起こる。

次の瞬間、手元のスマホがブーっブーっと震えた。

「ノエル……?」

まだ学校にいる時間のはずだ。一体何の用だろう……。

怖い気持ちもしたが、今は誰かにすがりつきたい気持ちでいっぱいだった。

「もしもし……」

電話を耳に当てると、耳に届いたのは意外なノエルの言葉だった。

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