イジメ返し―連鎖する復讐―
『SNSでアンタの情報が拡散してんの知ってる?』

「あっ……」

『その反応、やっぱ知ってるんだ。大丈夫なの?』

ノエルの言葉にぎゅっとスマホを掴む手に力がこもる。

ノエルはきっと全部知ったんだろう。

あたしの中学時代のことや、あの卒アルだって見たに違いない。

それでも今こうやってあたしを心配して電話をかけ『大丈夫なの?』と聞いてくれているんだ。

「大丈夫……ではないかな。まさかあんなのが拡散されるなんて思ってなくて……」

『だよね。SNSって怖いね。でも、うちらもアンタにあの動画晒されて怖い思いしてんだからね』

「それは……本当にごめん。後悔してるの……。あたし、あの時どうかしてた……」

『……ハァ。今さら何度謝られても動画が消えるわけじゃないし』

「本当にごめんね。こんなことしておいて今さらって思われるかもしれないけど、あたしノエルと瑠偉と友達辞めたくないよ」

今は一人でも多く自分の味方が欲しかった。

『アンタ、中学時代からイジメられてて一人も友達いないんでしょ?』

もう全て知られている。ほんのわずかしかない自尊心もプライドももう捨て去るしかない。

「うん。あたし、ノエルと瑠偉以外に友達がいないの。ひとりぼっちなの」

『ひとりぼっち、か。それは可哀想だね』

意外にもノエルの言葉は優しかった。

こんな風にちゃんと自分の気持ちを話せばよかった。

もっと早く、中学時代のことを打ち明けておけばよかった。

そうすればこんなことにはならずに済んだかもしれない。
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