イジメ返し―連鎖する復讐―
「よしっ、10分休憩!」
「はい!!」
海荷の一件がひと段落付き、ようやく部活にも顔を出せるようになった。
顧問の俺が部活に顔を出さなかった間も、部長のノエルや瑠偉を中心に練習を続けてくれていた。
さすが、瑠偉。俺が目をかけているだけある。
「瑠偉、ちょっといいか。プレーのことで話がある」
「はぁい」
3年の輪の中にいた瑠偉を手招きして呼ぶと、可愛い笑顔を浮かべてこちらに駆け寄ってきた。
まるで小動物のような笑顔があまりにも可愛くて今すぐこの場で抱きしめてしまいたくなる。
「どしたの、センセ」
「ああ、ちょっと話があってな」
必死に理性を殺して一度咳ばらいをすると、俺は瑠偉を見つめた。
「ん~、なぁに?」
「実は海荷のことがあってから校長たちが生徒たちのことに関してピリピリしていてな。校内でイジメが起きていないか目を光らせているんだ」
「それでぇ?」
「お前たちがイジメなんてくだらないことをしないっていうのは分かってる。ただ、周りの目を考えた行動をするようにそれとなくノエルにも伝えてくれ」
「それ、咲綾のことだよね。センセーは瑠偉たちが咲綾をイジメてると思ってるんだぁ~?」
「ち、違うぞ。そうじゃないんだ」
頬を膨らませる瑠偉に慌てて弁明する。