イジメ返し―連鎖する復讐―
「前に俺と咲綾が揉めたことがあっただろう?変態教師って言われたことに瑠偉は自分のことのように怒ってくれたな。俺は嬉しかったんだ。でも、俺は寛大な心で咲綾を許すことにしたんだ。だから、瑠偉も受け入れてやってくれ」

「瑠偉が……咲綾を?」

「そうだ。瑠偉ならできる。俺には分かるよ」

俺は心中を悟られぬようそれとなく咲綾へのイジメを辞めるように瑠偉を諭した。

少し前、咲綾が誘いに応じないことに俺は苛立った。

あそこまで露骨に拒否され、生徒に変態教師と罵られたのは初めてだったのだ。

プライドは酷く傷つき、どうにかして咲綾を苦しめてやりたいと思っていた。

だから、瑠偉を使い咲綾を嫌い、イジメるように仕向けたのだ。

瑠偉やほかの部員はまんまと俺の策略にハマり、咲綾をイジメ始めた。

アイツの困ったような辛そうな笑顔を見て俺はぞくぞくするほど興奮した。

イジメは見るからにエスカレートしていたし、咲綾が部活にこなくなるのも時間の問題だと思っていた矢先に海荷の事件が起こった。

学校中がイジメに敏感になってしまった今、部内でのイジメは到底看過できない。

イジメが発覚すればわが身に関わる。
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