イジメ返し―連鎖する復讐―
「瑠偉に期待した俺がバカだったか……」

結局、部活が終わるまで咲綾は部員全員から無視され続けた。

特に瑠偉の態度はあからさまで練習試合の最中も、意図的に咲綾を攻撃するかのようなパスを繰り返した。

体育館を使用している他の部活の生徒や顧問に気付かれて校長に告げ口でもされたら俺の面子は丸つぶれだ。

部員が帰り体育館の鍵をかけて戸締りを終え、職員室にバッグ取りに行き学校を後にする。

校門を抜け歩きながらポケットから取り出したスマホを手に取り画面をタップする。

「あー、ダメだ。欲求不満だ。誰かに癒してもらわねぇとな」

ギャラリーを開き【♡】のフォルダをタップすると、見覚えのある女性の姿が映し出された。

少し照れくさそうなういういしい表情をレンズに向けるのは、前の学校の部員だった女だ。

今はもう高校を卒業してしまったものの、当時の写真を今も大事にフォルダに保管してある。

教師という職業は俺の天職だ。今まで食った教え子は数知れず。

『これは二人の愛の証だ』

関係を持つ時に甘いセリフを囁くと、生徒たちは何の疑いもなく写真や動画を撮らせてくれた。

「……今日はサキにするか」

卒業後は疎遠になっていてもこの写真や動画があればすぐに女を呼び出せる。

何度か消してくれと必死に頼まれたけど、断った。

都合のいい存在がいなくなっては困る。

そのとき、突然スマホの画面に見覚えのないモザイクのかかった画像が浮かび上がった。

「なんだこの画像。AirDrop?辞退?受け入れる?」

思わず顔を歪めて立ち止まる。一体、これはなんだ。

「……折原先生?」

後ろから声をかけられて慌てて振り向くと、そこにいたのは咲綾と神宮寺エマだった。
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