イジメ返し―連鎖する復讐―
「どうしてこんなことに……」

途方に暮れて天を仰ぐ。

気付かぬうちに父から何度も電話がかかってきていた。

留守電には『お前とは今日を持って絶縁する。二度と顔を見せるな』という怒りを押し殺した声でメッセージが残されていた。

「俺ももう終わりなのか……?」

職を失うだけか、家族や友人……それに家や車まですべて失ってしまった。

俺にはもう何も残されていない。

震える手でスマホを取り出し、誰かに連絡しようとするものの誰にすればいいのか分からない。

どうしたらいいんだ……。

俺は一体これからどうしたら……。

そのとき、手元のスマホが震えた。

画面表示されていた名前に俺は目を輝かせた。

「――瑠偉!瑠偉なのか!?」

『あ、センセ?瑠偉だよぉ』

「今どこだ!?授業中か?」

『ううん。瑠偉、ちょっと具合が悪くなっちゃって保健室にいるの』

「保健室……?そばに保険医はいるのか?」

『いないよぉ』

「そうか。よかった……」

瑠偉が俺と電話で話していることを保険医に知られれば、さらに問題が大きくなりかねない。

ホッと胸を撫で下ろす。
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