イジメ返し―連鎖する復讐―
先生が奥さんに暴力を振るったり暴言を吐いた証拠は隠しカメラとボイスレコーダーですぐに手にいれることができた。

でも、それだけではまだ証拠として弱い。

『先生が以前勤めていた学校で、バスケ部の部員に執拗に関係を迫っていたことは調査済みです。彼女たちが卒業後も、関係のあった生徒の写真や動画を見せ、関係を拒めないように脅していることも分かっています』

先生はやっぱり最低な男だったのだ。

あれこれ理由をつけてあたしに関係を迫ったように、以前から同じ行為を繰り返していた。

『職員室に置いてあった先生のスマホのロック解除してみようとしたけどできませんでした。奥さんもパスワードを解くことは難しいと言っていました』

『スマホが見られないんじゃこれ以上の証拠はつかめないよ』

『見られないなら、見られる状況を作りましょう』

『どういうこと?』

『今日の部活後、折原を尾行します。あの男は仕事帰りスマホを弄りながら歩いて駅まで向かいます。その途中、あの男にエアドロしましょう』

エマはあの日、先生の後ろをつけていきスマホの機能を使って先生のスマホに文字をスクリーンショットした写真を送りつけた。

先生の慌てようは明らかで、家に帰り食事などを済ませるとすぐに自室にこもりスマホのデータをPCに移していたようだ。

奥さんがパソコンを使えないという先生の思い込みが功を奏した。

その日の夜、眠剤を飲まされた折原先生が眠りにつくと奥さんはエマちゃんにレクチャーを受けながら全てのデータを抜き取り各所に送る準備を整えた。

そして、すべてが公になった。

『全てうまくいきました。奥さんをナメきっていたこと、それに本格的な暗号化機能や隠蔽機能を搭載するフリーソフトなどを利用しなかったせいです。よかった、先生がバカで』

昨日、エマちゃんはそう言って電話口でクスクスと笑っていた。

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