イジメ返し―連鎖する復讐―
「照くん、まだかなぁ」

唯や他の友達に見つからないように隣町のカフェであたしは照くんを待った。

少しお茶をした後、カフェからすぐの場所にある照くんの家で誕生日のお祝いをしてもらうことになっている。

勝負下着もつけてきたし準備は万端。唯の彼である照くんを自分のものにできると考えるとぞくぞくした。

誰かの彼氏や旦那を奪うのは楽しい。

歪んだ考えだとは自分でも分かっている。

きっとこれは離婚した両親の影響だ。

両親は互いに顔を合わせるたびにケンカをしていたけど、そのどちらもが不倫相手には猫なで声で接していた。

あたしは両親に愛されてなどいなかった。

勝手に産んで愛されもせず捨てられ、おばあちゃんと暮らすことになった。

人は奪うか奪われるかだ。

だったらあたしは常に奪う側の人間でありたい。

両親はあたしを捨てた後もきっと、好きな人と幸せな日々を過ごしているに違いない。

人の幸せはいつだって、誰かの不幸せの上になりたっているものだ。

「照くん、遅いなぁ」

約束の時間をもう15分も過ぎている。

しょうがない。トイレで髪型でも直してくるか。

あたしは化粧ポーチを手に席を立った。
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