イジメ返し―連鎖する復讐―
「……なんでここにいるの？」

メイク直しをして席に戻ったあたしはギョッとして目を見開いた。

隣の席に咲綾がいた。その前には神宮寺エマの姿もある。

「偶然だね。こんなところに瑠偉がいるなんてびっくり」

棒読みの咲綾の言葉に違和感を覚える。

この女……一体どういうつもりなの。こんな偶然ありえない。

「……偶然なわけないでしょ……。まさかあたしについてきたの？」

「まさか。そんなことをする必要ないもん」

あたしはグッと奥歯を噛んだ。

咲綾は前とは別人のようだ。

バスケ部から咲綾を追放しようとノエルと海荷と一緒にイジメていたときは、常に暗い表情を浮かべてオドオドしていたのに……。

『さすがに最近やりすぎじゃない？このままじゃアイツ自殺しちゃうんじゃない？？』

って海荷が心配するぐらいやつれ果てていたのに。

咲綾が変わったのはこの女……神宮寺エマと一緒にいるようになってからだ。

そして、バスケ部に異変が起こったのもほぼ同時期。

もしかしたらこの女が何か裏で手を引いているのかもしれない。

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