イジメ返し―連鎖する復讐―
ああ、あたしの人生って一体なんだったんだろう。

今まで人を傷付けてもなんとも思わなかった。

でも、それでよかったんだろうか……。

意識が徐々に薄れていくのを感じる。

必死になっておばあちゃんに手を伸ばす。

両親が離婚した後、おばあちゃんは泣きじゃくるあたしの手を優しく握って微笑んだ。

『大丈夫、おばあちゃんがいるからね』

あたしにも大切にしなくちゃいけない人はいたのに。

それなのに……。

『おバカな早乙女先輩に教えてあげます。人から大切なものを奪った人間は、奪い返されるんです』

『そして、自分の大切なものを奪われた時、初めてそれを後悔する。自分の愚かな行いのせいで大切なものを失うことにならないように気を付けて下さいね』

エマのあの言葉はこのことを予言していたんだ。

因果応報、自業自得……。全ては自分の行いのせい。

「おばあ……ちゃ……ん」

手を伸ばす。あと数センチ。

最後におばあちゃんと手を繋いだのはいつだろう。

ああ、こんなことならもっとたくさん話しておけばよかった。

ちゃんと……おばあちゃん孝行すればよかった。

お礼も言いたかった。

おばあちゃんの手に触れる前にあたしは事切れた。

死の淵に立った時頭の中に浮かんできたのは楽しい思い出ではなく、咲綾の勝ち誇ったような笑みだった。
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