イジメ返し―連鎖する復讐―
「幼稚なことしてたのは誰ですかぁ~?」

「アンタね――」

ナメた咲綾の態度に食って掛かろうとしたものの、隣に祐ちゃんがいることを思い出してグッと我慢をする。

ニヤニヤと楽しそうな笑みを浮かべる咲綾に怒りと苛立ちがこみ上げ、どうにもならない歯がゆさにあたしは体を震わせた。

「どう?やり返されて悔しいでしょ?ノエルたちにイジメられてるとき、あたしも悔しくてたまらなかった」

「……っ」

「もうあたしは今までのいじめられっ子じゃない」

咲綾はそう言うと、あたしの耳元にそっと口を近付けた。

「あたしの苦しみはこんなもんじゃない。アンタに地獄を見せてやる。あの3人みたいに……アンタにもイジメ返ししてやる」

「は……?」

イジメ返し……?あの3人みたいに?

顔を歪めるあたしに咲綾はこれでもかというぐらい楽しそうな笑みを浮かべた。

「楽しみにしててね、ノエル。菅田くん、いこっ」

咲綾はそう言うと菅田の手を掴んで歩き出した。

あたしは呆然とその背中を目で追うことしかできない。

すると、すぐそばにいた祐ちゃんが「ノエル」とあたしの名前を呼んだ。
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