イジメ返し―連鎖する復讐―
咲綾side
ー咲綾side―

「大会まであと1週間!!今回が最後の週末だしみんな、気合入れて頑張ろうね!!」

体育館の中で1,2年生があたしを取り囲むようにして整列する。

「はい!!」

「このあと、レギュラー組は近くの公園で自主練ね!!それと、今週は土日どちらとも練習ね。レギュラー組以外は朝6時に体育館に集合してボール磨きと体育館清掃。すぐに練習に入れるように完璧に準備して」

折原先生と瑠偉と海荷とノエルのいなくなったバスケ部は新しく生まれ変わった。

3年の真子と美香は『部活をやる気になれない』という理由でやめてしまった。

3年はあたしだけになってしまったけど仕方がない。

イジメ返しをしている期間に練習がおろそかになってしまっていたし、その遅れを取り戻すためにあたしは必死になっていた。

すると、1年がおずおずと手を挙げた。

「あの……咲綾先輩。日曜日は祖母の四十九日法要があって部活お休みしたいんですけど……」

「バスケの練習と法事どっちが大切?」

「え……」

「それって絶対に行かなくちゃいけない?みんなが必死に練習してるとき、その程度の用事で休もうとするのどうかと思うよ」

大会前の最後の週末だと言ったのに、どうしてこんなことをいちいち聞くのか理解できない。

「あなたが抜けたことで他の子の負担が増えるとか考えられない?まあ、それでもどうしても休むって言うなら他の子にちゃんと謝りなよ。サボってごめんなさいって」

「違います……!あたしサボろうとしてるわけじゃ……」

「だったら、来た方がいいんじゃない?あたしはこんなこと話してる時間すら惜しいの。じゃあ、解散!!」

ぴしゃりと言葉を切ると、汗を拭いながら体育館を出た。

ノエルが部長だった時に後輩たちをきちんと育てていればこんなに苦労することもなかったのに。

心の中でため息をついたとき、「咲綾先輩」とエマがあたしに駆け寄ってきた。
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