イジメ返し―連鎖する復讐―
「そうやって言い訳するならいいよ。連帯責任!みんな外周5週してきて!!」

そう叫ぶと、他の部員からブーイングがあがった。

「なんでうちらまで?」

「忍先輩のせいで最悪なんだけど……」

「咲綾先輩のいうこと聞いてよ!忍のせいでなんであたし達まで……」

「もう暑くて限界……。マジで吐きそう」

部内に険悪な空気が漂う。

……ざまあみろ。

あたしが引退した後、部内に忍の居場所はないだろう。

前から一人飛びぬけてプレーの上手い忍を疎ましく思っている部員も少なからずいた。

わざと聞こえるように同級生と一年の後輩が口々に忍の悪口を言う。

ちらりと目の前にいる忍に視線を向けると肩を震わせて涙を流していた。

「分かりました……。やります……。だから、みんなのこと走らせないでください。お願いします……この練習が終わったら少しだけ休ませてください。数日前から膝も痛くて……」

「やれるだけやって。はい、みんな早く戻って!」

忍がわざとらしく足を引きずりながらみんなの元へ向かう。

「さっ、練習再開するよ!!」

声をかけながら体育館をぐるりと見渡す。

「あのデブまたトイレかよ」

いつの間にかデブセンの姿が体育館から消えていた。

あたしは大きなため息をつきながらプレーを再開した。
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