イジメ返し―連鎖する復讐―
あっという間に大会当日の朝になった。

「頑張って来てね!お父さんと一緒に応援に行くから」

「うん!絶対勝つから」

母に買ってもらったバッシュを持って晴れ晴れとした気持ちで家を出る。

今日は両親が仕事を休み総合体育館まで応援しにきてくれることになっていた。

イジメ返しが成功してからすべてがうまくいっている。

以前とは生活がガラリと変わった。毎日がキラキラと輝き、充実している。

午前7時に体育館前に集まることになっていた。

1,2年には6時には来てストレッチや荷物の最終チェックをするように指示を出しておいた。

準備は万端だ。

「よしっ、頑張ろう!」

自分に気合を入れて歩き出す。

色々なことがあったけど、今日のこの日の為にあたしはずっと努力を続けてきたんだ。

その努力が今日、実を結ぶはずだ――。

張り切りすぎて予定よりも早い6時半に総合体育館の前に着いてしまった。

「あれ……1,2年どこにいるんだろ……」

後輩たちは6時にはここにいるはずなのに、誰の姿もない。

……信じられない!!こんな大切な日に全員遅刻……!?

顔に泥を塗られたような気持ちになる。

苛立ちを隠せずすぐにスマホを取り出して忍に電話を掛ける。

でも、何度かけても呼び出し音が鳴るだけで応答はない。

他の部員も同じだ。

「なに……。なんなの……」

チッと舌打ちをしたとき、ポンポンっと肩を叩かれた。
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