イジメ返し―連鎖する復讐―
力なくズルズルとその場に座り込んだ。
まるで悪い夢を見ているみたい。
中学時代のキラキラと輝く綺麗な思い出がガラガラと音を立てて崩れていく。
「あたしは悪くない。悪くないんだから……」
そう呟きながら指の皮を剥く。
時間が経つにつれ、試合会場の体育館へやってくる人が増える。
その人たちはみんな怪訝そうな顔であたしを見つめながら通り過ぎていく。
誰も声をかけてくれない。
ただ、嫌悪感丸出しの目であたしを見つめるだけ。
その時間が長くなるにつれ、必死に堪えていたものが溢れ出しそうになる。
「深山さん、ごめん。やっぱりみんな来ないとしか言わないのよ。先生もこんなこと初めてでどうしたらいいのかわからなくて」
戻ってきたデブセンは想像通りあたしの欲しい言葉をくれなかった。
「もういい」
「待って深山さん!!どこへ行くの!?」
立ち上がって歩き出すあたしの腕を掴んだデブセン。
あたしはその手を振り払った。
「うるさい!!離してよ!!」
デブセンとこれ以上話す気にもこの場にいる気にもなれなかった。
どうぜ部員は誰も来ない。だったらこの場所にいる必要はもうない。
デブセンを無視して歩き続け敷地を出る。
すると、目の前から見覚えのある人間がこちらに向かって歩み寄ってきた。
「菅田……君?」
左足にギプスをつけて松葉杖をつき頭に包帯を巻いた菅田君がこちらに向かって歩み寄ってくる。
エマが手をまわして彼に怪我をさせたのは間違いない。
それを話せば菅田君は黙っていないだろう。
あたしはぱあっと目を輝かせて彼に向かって駆け出した。