イジメ返し―連鎖する復讐―
顔の筋肉という筋肉が引きつれたみたいにうまく動かすことができない。

なんだ、この茶番は。今目の前で繰り広げられている状況を理解するのに時間がかかる。


「じゃあ、公平に多数決で決めよう。明日の試合、瑠偉が出た方がいいと思うやつは挙手をしてくれ」

その瞬間、全員が迷わず手を挙げた。

先生は満足そうに微笑んだのをあたしは見逃さなかった。

「次、深山が出た方がいいと思うやつは挙手をしてくれ」

先生の言葉に手を挙げる人は誰もいない。

シーンと静まりかえる。

隣のコートで練習をしていたバレー部の子達の声とボールの音しか聞こえない。

体が小刻みに震える。

恥ずかしさと屈辱と悲しみと怒りと憎しみが全身に込み上げてくる。

今すぐに逃げ出したい。これ以上、この場にいたくない。

「そうか。これがみんなの気持ちってことだな。悪いが深山、今回は諦めてくれ」

何が諦めてくれだ。

どうして挙手させる必要があった……?

どう考えても今までの流れや部員の反応で瑠偉を押す流れになっていたのに。

それなのにどうしてわざわざ晒上げるような真似をしたの?

もしかして、わざと……?

わざとあたしをさらし者にした……?

昨日、先生の誘いに乗らなかったから。その報いがこれ……?
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