イジメ返し―連鎖する復讐―

派生するイジメ

教室に入った瞬間から、おかしいと思った。

仲良くしている友達の元へ行こうとすると、その子はあたしに気付いてスッと席から立ち上がって教室から出て行った。

「おはよ」

首を傾げながら自分の席に向かって隣の席の子に挨拶すると、彼女はプイっとあたしから顔をそむける。

「え？」

なにこれ。どういうこと。

突然の変化に戸惑っていると、「深山！」と誰かがあたしの名前を呼んだ。

振り返ると、そこには数人の男子がいた。

「お前、教室でゲロ吐くなよな」

男子の言葉に顔面の筋肉が引きつれる。

「え……？」

「昨日、体育館倉庫でゲロ吐いたのお前なんだってな！？朝練やろうと思って倉庫入ったらマジでくせーの！！ふざけんなよ！！」

「いや、お前女子にそれは言い過ぎだろ」

「マジでくせーから！！お前も嗅いでみればわかるって！！」

「はぁ～？それは無理。ぜってぇ無理！」

「だろ～？」

男子たちの会話に全身から血の気が引いていく。

どうしてバレてるの。あたしが体育館倉庫で吐いたって。どうして知ってるの……？