イジメ返し―連鎖する復讐―
ギリギリと奥歯を噛みしめる。
反論したい気持ちは山々だけど、先生があたしにした証拠は何もない。
証拠がなければだれもあたしの言葉なんて信じてくれないだろう。
「瑠偉ー!話聞いたよぉ~。大変だったね」
クラスの中の派手な集団の女子たちが瑠偉に近付き親しそうに腕を組む。
「ん~?瑠偉は大丈夫だよ。ありがとっ」
「瑠偉ってば優しすぎ。てか、深山自分のしたこと認めないとかウザくない?」
瑠偉に入れ知恵でもされているんだろうか。
昨日まで普通に接してくれていた女子達があたしに敵意を向ける。
「そういえば女バスの中であの子だけいつもポツンだよね。そういう理由があったんだ」
「マジ最悪だね」
こんなの針のむしろだ。
「ここじゃちょっと。廊下いこっ??」
瑠偉たちがぞろぞろと廊下に出て行く。
黙ってその背中を見送るあたしの足を男子が蹴っ飛ばした。
「お前、マジ性格悪いのな。死ねよ」
クラスの注目があたしに集まる。
その瞬間、あちこちからクスクスという笑い声が耳に届いた。
部活だけだと思っていたイジメは、クラスにまで波及してしまった。