イジメ返し―連鎖する復讐―
すると、間近にいた男子が「うっ」というくぐもった声を漏らしたと同時に口を押えて教室を飛び出して行った。

それに続くように顔を真っ青にして彼に続き飛び出すクラスメイト。

「マジ無理なんだけど!!早く窓開けてよ!!」

ヒステリックな金切り声を上げて怒鳴り散らす女子。

「うわぁ……どうするんのこれ……」

「マジ悲惨……」

「てか、昨日も吐いたんでしょ!?具合悪いなら学校くんなよ!!」

あちこちで飛ぶ非難めいた言葉。

今、自分がどうすべきか全く分からない。

目の前がただ真っ暗になってぐらんぐらんと揺れる。

もう悲しいとか辛いとか苦しいとかあらゆる感情が消え去っていくのを感じる。

ただ、消えてしまいたい。そう思った。

もう消えたい。いなくなりたい。もう……疲れちゃった。

そう思った途端、両足から力が抜けガクンッとその場に座りこんだ。

そのままの態勢を維持できずに顔から床に倒れ込む。

左頬に衝撃が走り、口の中が切れたのかジワリとした痛みと鉄の味が広がる。

「……――みんな、席について。朝のHR始めるわよ。……え。ちょっ、誰。えっ……深山さん!?深山さんなの!?」

先生が教室に入ってきたようだ。

倒れているあたしに気付いて、先生が慌てた様子で駆け寄ってくるのが足音で分かった。

目をつぶる。

そのままあたしは引っ張られるように意識を遠くに飛ばした。
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