イジメ返し―連鎖する復讐―
保健室で着替えを終えた後、保険医の先生は念のためにとあたしに早退するように促した。

「頭、打たなくてよかったね。学校から電話がくることなんてないから、ドキッとしちゃったわ」

家のカーポートに車を停めて家の中に入る。

リビングのソファに力なく座るあたしに母は努めて明るく振舞った。

「ごめん。仕事早退させちゃって……」

「大丈夫。そんなの気にしないでいいのよ」

「うん……」

しゃべる気力すらわいてこない。

ただ、教室での出来事を思い出して指の皮をむきたい衝動に駆られる。

今すぐ大声で叫んでしまいたい。

心が今にも壊れてしまいそうだった。
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