イジメ返し―連鎖する復讐―
「それ、なに?」

「気になる?これね、お父さんとお母さんからの咲綾へのプレゼント」

そう言うと、母はラッピングされた四角い箱をあたしに手渡した。

「なに……?」

「来月、引退試合でしょ?頑張ってほしくて奮発したのよ。開けてみて?」

にっこり微笑む母。箱を持つ手が震える。

まさか。これって……。

包装紙を破りながら「あれ」ではないことを祈る。

でも、あたしの祈りは叶わなかった。

「このバッシュ、咲綾ずっと前から欲しいって言ってたでしょ?」

箱の中にあったのは某一流メーカーのバスケットシューズだった。

以前から欲しいとねだっていたものの、人気で売り切れ買うことができずにいた。

「たまたま先週、在庫が復活したって連絡が来て慌てて買いに行ったの。引退試合に間に合ってよかったわ」

母が満足げに言う。

「……どうしたの?さっきから反応が薄いわね。もしかして欲しくなかった……?」

黙っているあたしを不思議そうに見つめる母。

「ち、違う。まさか手に入るなんて思ってなかったからちょっと驚いちゃって……」

あたしは引きつった笑みを浮かべながら言った。
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