🩸狂い切ったヴァンパイア🩸
意味のわからないことを言い、包帯を解いた玲くん。

すると、とてもじゃないけれど人間とは思えない、いや、吸血鬼だけれど、深い、長い、太い、痛そうな傷跡があった。

「……醜いと、嫌われちゃう、からね」

「……へ?」

醜———

グサッ!!

「ひっ!?」

自分の腕に、どこから出したのかわからないナイフを腕に刺して、傷の間を抉るように切る。

「や、やめっ……」

見てられなくて、目をぎゅっと瞑った。

でも、瞑った目が簡単に開いた。

なぜだかはわからないけれど、心配で、目が離せなくて。

そしたら、玲くんの腕から出た血は、玲くんの傷の部分に垂れて、怪我が塞がって行く。

「なに、これっ……」

「治癒能力だよ。怖いとこ、見せてごめんね」

そう言って、私をぎゅっと抱きしめた玲くん。

「もう、大丈夫なの……?なんで、自分を傷つけるの……?怖いよ、玲くんが、壊れちゃいそうでっ……」

そう言っていると、目から大粒の涙がポタポタと垂れだす。

「心配してくれてるの?」

「うんっ……だって、玲くんは、私の、婚約者、なんでしょう……?」

自然と口から出た言葉は、もう後戻りできないらしい。

「えっ……?」

玲くんの胸元のシャツをぎゅっと掴んで、玲くんの目を必死に見つめる。

「やめて……私、玲くんのことが、大切なの……いまみたいなこと、もうしないって、約束して」

「……じゃあ、ひゆから、ちゅーしてくれたら、いい」

「……え?」

私から、ちゅー……?

「婚約者なんだから、これくらいいいでしょ?」

「ううっ……」

これも、玲くんのためなら……。

そう思い、キスをしようと、目を瞑ると、大きな手で後ろから頭を押されて、玲くんの首筋に顔を埋めさせられた。

「っ!?もごっ……」

「……吸って」

「!?」

「早く。じゃないと、やめない」

このままだと窒息死してしまいそうなので、仕方なく、玲くんの首筋に口付けて、軽く吸った。

そしてあとから迫り来る、嫌な、予感。

「ふふっ、ありがとう。これで、ひゆのキスマーク、できたね❤︎」

「っ、えっ……?」

き、きききききききき、キスマーク!?

「そ、そんなっ……」

「一生消えないようにしといたから」

そう言ってにっこりと微笑んだ玲くんに対して、顔が真っ赤になりながらも、学校に登校した。

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