🩸狂い切ったヴァンパイア🩸
「……ひゆ」

「……えっ……?」

玲くんの、声……。

「な、なんで?」

「なんでじゃないよ。そこの狐に聞いたの」

「お前、狐と言うな」

龍神さんからっ……?

「ひゆ、すまぬな。喧嘩をしてるらしいが、おぬしの安全が心配なのじゃ」

「ぷっ、相変わらずその喋り方、だっさ」

そう言ってお腹に手を当ててくすくすと笑う玲くん。

玲くんが、こんなに、笑ってるっ……。

「お前、しばかれたいか?仕方がないだろ、俺の世はそういうとこだったんだから」

あれ……?喋り方が、変わった?

龍神さんのことを見ると、尻尾も耳も消えていた。

そしてあろうごとか、玲くんの尖った耳も、丸くなっていた。

「ぶっ!!わかってるけどさ」

「なら、黙れ」

やっぱり、本当に仲良いんだ。

嬉しいな……。玲くんが、こんなに、笑ってて……。

嬉しい……はずなのに、寂しい……。

私といる時に、こんな笑みは見せてくれない……やっぱり、血、なのかなっ……?

それに、さっき龍神さんに、稀血とか、言われたし……私の血って、普通じゃないってことだよね……。

胸がきゅーっと締め付けられて、どうしようもない衝動に襲われた。

「……ほら、帰れ」

「わかったよりゅう。よし、行くよひゆ」

「うんっ……」

あ、あれ……?

ついぼーっとしてうんって言っちゃったけど、ちゃんと、おうちに返帰してくれるのかな?

「……青葉のことは、またあとで聞く」

「ああ」

なにかボソッと2人で話して、龍神さんは消えてしまった。


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