🩸狂い切ったヴァンパイア🩸
助けを求めるのは
次の日。
いつも通り玲くんが学校まで送ってくれて、私はいま雪奈ちゃんと一緒にいる。
そして……いまから、事情聴取を始める。
「雪奈ちゃん……?あの、妖狐の龍神さんと恋仲なんですって……?」
「あら?りゅう先輩に言われたの?」
「そうだよ!!」
そう言ってぷーと頬を膨らませる。
「ぷぷっ」
「言って欲しかった!」
「だめよ。必要最低限のことしか、妖狐や吸血鬼、人狼の話はできないの」
「むー、でも……」
親友として、ちょっとぐらいは、話して欲しかった……。
「……はいはい、ごめんね。実は、玲くんとかがくること、全部知ってたのよ」
「っ……え?」
まさかの発言に目を丸くする。
「でも、玲くんに口止めされてたのよ。それで、龍神先輩も関連があるから言えなかったの」
「そっか……なら、よかった……」
嫌われてなくて……。
「ふふっ。そうよ。」
「あっていうか、龍神さんって先輩だったんだね」
玲くんの幼なじみだから、てっきり後輩かと。
「ええ。いま3年生。この学園にいるわよ」
「え、そうなの!!」
「ええ」
この学園にいたなんて……。
ふふっ、そっか。これで、私たち、2人とも、彼氏持ちだっ……。
……彼氏……。
『血が好きなだけ』
血が、好き……。
「あ!ひーゆちゃん!おはよ!」
「あ、蒼葉くんっ……!昨日はごめんね!!」
「ううん。ひゆちゃん、ちょっと、
いいかな?」
「んっ……」
「ふふふ、起きた?」
目の前に見えたのは、不敵に笑う蒼葉くんだった。
「あお、ば……ん……?」
「そうだよ。」
「ここは……?」
なんでだろう、身体に全く力が入らない。
「うーん……森の奥の、お屋敷かな……。」
森の奥のお屋敷……?
「……僕たち、いまこの大きなお屋敷に2人っきりだよ❤︎」
「へっ……?」
状況が、理解、できないっ……。
蒼葉くんと、なんで、こんなところに、2人っきりなのっ……?
怖いよ、蒼葉くんっ……。
玲くん、助けてっ……。
「……玲くんっ……」
「無駄だよ?玲はなんだって来れない。」
「ううっ……わかんない、もんっ……」
次第にポロポロと涙が流れる。
なんで、玲くんを想うの……?
玲くんのことを考えてしまう自分にも涙が流れてくる。
もう、誰か、助けて……。