🩸狂い切ったヴァンパイア🩸
「……どちらに行きます?」

「屋敷」

「承知いたしました」

いま、ひゆが居て1番安全なのは、きっと、僕の元だから。

だから、僕の部屋にひゆを監禁しよう。

風呂もキッチンだって、なんでも揃ってるのだからいいだろう。

それに、本邸ならば、吸血鬼の警備員だっている。それならさすがに大丈夫だろう。

「玲くんっ……こ、わいぃ……」

ぷるぷるしちゃって、可愛いひーちゃん。

「大丈夫だよ。僕のそばにいれば、絶対」

「本当……?」

「うん!あ、でも、しばらく僕のおうち、本邸で暮らさなきゃだけど……いい?」

そういえばひゆには言ってなかった。

というか、前にぱぱっと教えただけで、やっぱりひゆは自分の血のすごさをわかってない。

「や、やだ!!」

……え?

「わ、私……自分のおうちじゃないと、やだっ……」

「……わかった。」

しょうがないなぁ❤︎。

僕だけのお姫様の言うことは、なぁんでも聞いてあげないと❤︎

「あ、あとっ……お薬とか、ないしっ……」

「……お薬?」

薬って、なんだ?

ひゆ、飲んでたの?

病気なの?

死んじゃうの?

僕から離れちゃうの?

「あっ……あの、私……」

「なぁに?」

「頭痛薬とかっ……」

「ふふっ、わかったよ。ちゃんとお薬持っとくね」

「へ?……持っておく……?」

「あ、ううん、なんでもない」

つい口を滑らせてしまった。

でも、嫌だな。

僕以外のものがひゆの体内に入っていくとか。

吸血した時に流れる僕の血じゃあだめなの?

そう聞きたいけれど、そんな薬にまで独占欲を抱いたって、嫌われていくだけだ。




しばらくして、屋敷に車が着いた。

でもそこで僕はやっと気がついた。

ひゆの血が高価ということは、

『ひゆの家族の血』も、そうだということを。

あああ、どうしよう。

しくじった……。

「……浅倉、ひゆの家族の保護もお願い。」

「了解いたしました」

運転していた執事の浅倉にそう言い、ひゆを抱き上げて屋敷に入った。

「れ、玲くん……」

「ん?どうしたの、そんな可愛い顔して」

いつだって可愛いけど。

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