🩸狂い切ったヴァンパイア🩸
「そんなこと言ったって脅しにはならないわ」

「?なにを言ってるんですか?この世界に置いてひゆという僕の天使がいなかったら生きる価値も世界の価値もないに等しいでしょう?」

「はぁ……」

お婆様は大きなため息をついた。

あああああひゆが部屋で待っていると言うのに、なぜこんな人と話さなければいけないんだ?

そろそろひゆ不足で死んじゃう。

ひゆ❤︎ひゆ❤︎ひゆ❤︎ひゆ❤︎ひゆ❤︎ひゆ❤︎ひゆ❤︎ひゆ❤︎ひゆ❤︎ひゆ❤︎ひゆ❤︎ひゆ❤︎ひゆ❤︎僕の可愛いひーちゃん❤︎早く会いたいなぁ。

「……やっぱり北条家に咲坂ひゆは行かせるべきね」

「…………は?」

北条家だ?

「あははは、冗談ですよね?」

「……冗談だと思うのかしら?」

「はい。僕の前からひゆが消えてしかも葵のところへ行くなんて考えられません」

「そんなの知らないわよ」

知らない……か……。

なら、放っておけばいいのに僕のことなんて。

「蓮や来に言ったらどうですか?」

来は僕のもう1人の弟だ。

蓮も来も成績は優秀。

僕はあのふたりのこと大好きだから、幸せにはなって欲しいけど、ひゆと僕との幸せをおびあかされるのであればまた話は変わってくる。

「蓮も来も女嫌いがすぎるのよ」

「そんなの僕に関係ありませんよ。それに、女嫌いなら僕も変わりませんけど」

僕の女嫌いレベルがヒドいのはお婆様もさすがに知ってるだろう。

「でも、こうして咲坂ひゆと交際しているじゃない」

「それは相手がひゆだからです。いい加減わかりませんか?さっきから僕はひゆ以外の女は無理と言っているのです。というかひゆ以外と一生を共にするなんて吐き気がする」

「……随分と口が達者になったのね」

……僕のことなんか、ちゃんと知らないくせに。

元々口は悪かったし。

「ふふふ、褒め言葉として受け取るとしましょう」

「……仕方がないわね。こうなったら、咲坂ひゆに来てもらいましょう。入ってひゆさん」

ガチャン

意味がわからない中ことは進み、ひゆが部屋に入ってきた。

「ひゆっ……」

「れ、玲くんっ……あ、れ、玲くんのお婆様のっ……いつもお世話になってます」

そう言ってひゆは律儀にお辞儀をする。

そして頭を上げて、ソファの僕の隣に座る。

その仕草だけで愛らしさがあふれる。

ああ、なんでそんなに可愛いの❤︎怖いぐらいだよ僕。

僕と目が合ったひゆは、可愛く優しくにこっと微笑んでくれた。


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