🩸狂い切ったヴァンパイア🩸
「……こちらこそ」

お婆様はそっけなく返事をする。

「玲くんのお婆様は、歴史がお好きなのですよね?」

「……そうよ」

そういえばお婆様は日本史が好きだったなぁ。

……ひゆ、なんで知ってるんだろう。

「私も歴史が大好きなんですっ!玲くんのお婆様——」

「泉よ」

泉とはお婆様の名前だ。

「あっ、い、泉、さんは、どの時代の歴史が好きですか?」

「……戦国時代かしら」

「ええっ!私もですっ……!」

ひゆは心から嬉しそうに微笑む。

「どんなところがお好きですか?」

「……武将たちがそれぞれキチンとした目的を持って命をかけて行動するところかしらね」

「おおっ……!!す、すごい……」

「……ひゆさんは?」

少しお婆様が頬を緩めた。

ひ、ひゆ、すごい……。

「私は……戦のない世の中を作ろうとみんなそれぞれのやり方で生き抜いているところですかね……泉さんと同じです」

「そう……。珍しいわね、歴史が好きなんて」

「えへへっ……戦国武将さんたちはカッコよくて大好きです」

……。

ひゆ、戦国武将なんて好きなんだ。

僕戦国時代にタイムスリップして名前を広げたい。

っていうか、ひゆ大好きって言った……僕以外に……。

「好きな戦国武将は?」

「上杉謙信様です!!」

「あらそうなの」

え、そうなの……?

まさかの人に驚きが隠せない。

「どんな人にも優しい義がある謙信様が大好きですっ……!!」

優しい……か……。

ひゆは楽しげにそう語る。

「そうなのね。」

「泉さんは?」

「私は織田信長かしら」

「おー!!」

ひゆは感心するようにコクコクと頷いている。

「どんなところが好きですか!?」

「……周りから冷酷に見られていても実は優しく人を思うことができること、かしら」

「マジでそれなです!!泉さんとは共感できすぎます!」

ひゆのテンションはどんどん向上されている。

そして心なしかお婆様の表情もよくなっていってるような気がする。

「安土城素敵ですよね……」

「ええそうね」

「実物で見たかったっ……」

「本当にそれよ……」

テンションがふたりとも上がったと思えば一気に下がる。

「ううっ……春日山城も見たかったですっ……」

「そうね……あ、上杉謙信といえば武田信玄との川中島の戦いよね?」

「は、はい!!」

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