魔王に見初められて…
その日の夜━━━━━━
予想はしていたが、結愛は克樹に壊れそうな程に抱かれていた。
何度…果てても、終わらない。
意識が何度も飛びそうになり、その度に頬を軽くつねられて、引き戻される。

もう時計は、夜中の二時をさしている。
「あ…もう、だめぇ……か、つき…許して…」
「まだまだ…終わらないよ……もっと、結愛の中に俺を刻みつけないと……」
「もう……身体が…もたな、い…」
「ダメだよ…?
ほら、ちゃんと意識…保って……」

身体中にキスマークがつき、震えている結愛。
解放された時には、殆ど動けない程にぐったりしていた。
腕枕をされ、頭を撫でられている。
「可愛い……結愛…愛してるよ……」
「克樹…」
「ん?」
「私を……殺して…?」
「どうして?」
「私は耐えられない…私のせいで誰かが傷つくの…」
「俺はまだ結愛と一緒にいたいから、殺さないよ?
でも、俺が死ぬ時は一緒に連れていくよ?」

克樹が言うと、全てが本当に起こりそうで怖い。
ほんとに完璧な人だ。
美しくて、賢くて、精神的にも肉体的にも強い。

きっと克樹は、色んな人やモノを自分の思いどおりにできるのだろう。
愛しい結愛のことでさえ、結愛の気持ちを無視して自分の思いどおりにしようとしている。

克樹に不可能はないのかもしれない。

「克樹、ずっと傍にいるから…
誰も傷つけないで…?」
そして結愛は…自分の本当の気持ちを殺して、克樹のモノになるのだ。




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