幽霊でも君を愛する
第五章 アクシデントありきで楽しめるランチ
私は基本的にあまり外食はしない、普段は牡丹が色々と作ってくれるから。今日は午前中だけの講義だった・・・筈だが、昼食を挟む際は、牡丹がお弁当を作ってくれる。
食材さえ冷蔵庫に入っていれば、牡丹が何かしら手を施してくれる。焼き物・煮物に限らず、ドレッシングやタレ、炊き込みご飯にお寿司等、ホテルのバイキング並みに豪華な品々が揃う。
テレビで放送される料理番組を見て学んだり、時々私に料理本を買ってくるように頼んだり、その探究心と熱意には、いつも驚かされている。
特に、私が執筆した小説が何かしらの大賞を受賞した日には、机がびっしり埋まる程の豪華な食事が彼女からプレゼントされる。
「私にできる事は、これくらいしかないから・・・」と、彼女はよく言っているけど、これだけでもう十分だ。
彼女は料理の見た目だけではなく、健康面にもしっかり配慮してくれるから、彼女と一緒にいるだけで長生きできそうだ。
逆に、外食の料理は確かに美味しいけれど、健康的かそうでないかを考えると、大半がそうでもなかったりする。
蔵刃は基本的に自炊せず、処分のセール等で安価に売られている弁当や惣菜しか買わない。そこら辺も節約に抜かりがないの、彼らしいのかもしれない。
だが彼の家は、節約を常に頭に入れていなければならない家庭環境だから、私としても口出しできない。彼の家は両親共に健在なのだが、彼の下にいる弟と妹が6人もいる。
元々彼の母が一度離婚して、再婚した結果、今の大家族の形になっている。1回目の結婚で生まれた蔵刃だが、血が半分しか繋がっていなくても、弟と妹を可愛がっている。
離婚の原因は、あまり深くは詮索しない。最近は離婚するのが珍しくもないから。しかし、蔵刃は自分の奨学金も合わせ、弟達の生活を支える為に、幾多ものバイトを掛け持ちしている。
元々彼は気さくで物覚えもいいから、この多忙な生活に順応できている。蔵刃は時々、私に弟や妹の自慢話をする、相当溺愛しているみたいだ。
そう思うと、一人っ子である私は彼を羨ましく思う。いわゆる、『隣の芝生は蒼い』現象だ。

・・・いや、もしかしたら
私にも兄弟や姉妹が『いたのかも』しれない
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