幽霊でも君を愛する
第八章 幸せなひと時
「あぁ、そういえばまだ今日は買い物していなかったね。後で行ってくるよ。」

「今日はいいんじゃない?
 冷蔵庫にある物で夕食分は余裕で作れるよ。」

牡丹は、もう私の家にある冷蔵庫の中身ですらも完璧に把握している。
一人暮らしだからそれほど冷蔵庫は大きくないけど、そんなセリフを普通に言える牡丹は、もう『良妻賢母』『最有力候補』と言っても過言ではない。
私ですら完璧に把握できず、「何でこんな物が冷蔵庫に入ってるんだ?」と思う事なんてしょっちゅうだ。でもそんな私の疑問にしっかり答えてくれるあたり、彼女の実力は本物だろう。
時々同じ階に住むマンションの住民からも言われる。「貴方って料理もできるの?」と。
ただ彼女の存在はあまり公にしたくない事もあって、「そうなんですよ」と、毎度毎度軽く流している。そもそも彼女が、「外では私の事を言わないで!!」と念を押している。

・・・まぁ、そうだよな。
だって彼女は・・・
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