幽霊でも君を愛する
カシャッ

「「???」」

2人の反省している姿があまりにも可愛らしかったから、思わずスマホのカメラを起動して、迷わずスイッチを押した。
画面に映し出されていたのは、シミの付着したカーペットと無機質な壁のみだけど、私には反省している2人がしっかり見えている。
これも、私が昔行った実験で得られた発見だ。スマホを初めて持てた高校一年生の頃、試しに牡丹をカメラ機能で撮影したら、予想外な事に、写真の中にしっかり牡丹が写り込んでいた。
でも案の定、この写真を友人に見せても、友人は牡丹を認識できなかった。
ユキちゃんも写るのか疑問だったけど、しっかり写っている。そのスマホ画面を2人に見せると、2人が急に怒り始める。

「人が反省してるっていうのに!!!」

「いちいちそんな写真ばっかり撮らないでよ!!!」

私を両手でポコポコと叩く2人は、赤面を見せながら照れていた。若干涙目になっている姿も可愛くて、私はつい笑ってしまった。

「あはははっ!! ごめんごめん!!
 このカーペットもだいぶ古くなったからね、そろそろ買い替えよう。」

「・・・まぁ、こんな事態にもならないと、三楼は買い替えを検討しないからね。このカーペッ
 ト、もう五年以上は使っているから、そろそろヤバいと思っていたの。」

牡丹の話を聞いたユキはギョッとした。私は別に、お金がもったいないから買わなかったわけではない。まだ使えるなら使う、買い換えるのは穴でも開かない限り検討しない、ただそれだけ。
我が家ではペットを飼っていないし、普段からスリッパを着用しているから、そこまで気にしなくても良かった。ただ五年以上ずっと使い続けるのは、衛生面的にも絶対危ないだろう。
今のところ私は健康ではあるけど、きっともうすぐ買い替えの話が牡丹から来るだろうと思っていた。でもまさか、こんなタイミングで踏ん切りがつくなんて思わなかった。
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