幽霊でも君を愛する
「よしっ、交渉成立だね。」

「やったね三楼。これでまた収入が増えるよっ。」

「こら牡丹、話が生々しい。」

なんだかんだ言って、牡丹もユキちゃんを気にかけてくれているのだ。彼女は照れ屋だからなかなか言わないけど、本当は彼女もゆきちゃんを救いたかったのだ。
何故なら、牡丹はもう分かっているのだ。〈怨念〉に縛られる事がどれほど恐ろしいか、その身を通じて、痛い程理解している。
でも牡丹は、他人に感情を見せない。今の彼女は、完全に『他所様専用』の顔だ。そのクールな顔の裏では、〈怨霊〉に対する恐怖が未だに残っている事を、私は知っている。

「・・・で。
 成仏するには、どうすればいいの?」

「まず君が『過去』を思い出さないと、何も始まらない。どんなに細かい私情でも構わないか
 ら、思い出してほしい。
 君は無意識に、心の中でこの世界に留まる事を望んでいる節がある。それを見つけ出さない事
 には、完全にこの世界から決別できない。
 ほら、理由もなく同じ場所に留まるって事は、生きている人間でもあまりない事だ。その人が
 何かしらの事情を抱えていないなら、そんな無意味な事はしない。」

「・・・うーん・・・
 ・・・んー・・・??
 ・・・・・えー・・・・」
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