狂ったのは?
「そう、だったんですね。よかった、てっきり何かあったのかと……」
「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。それと心配して声を掛けてくださり、ありがとうございます」
「いえ、私の早とちりなので、お気になさらず」

 頭を下げてお礼を言う男に、私は首を横に振った。

「ところで貴女はここに1人で花見ですか?」
「え、ええ。……本当は彼氏と来る予定だったんですけど、彼氏が遅刻しているんです」

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