狂ったのは?
「きゃっ!」

 強い風と桜の花びらが顔に当たり、私は思わず目を閉じた。
 数秒続いた突風は暖かい気温を取り戻すと、私はゆっくりと目を開けて顔に付いた花びらを取り除く。
 手に取った花びらは、今まで見た桜の花より綺麗な色をしていた。指で摘んでいる花びらは全体がピンクに染まり、ほんの少し白が入ることによってお互いの色を引き立てている。
 こんな綺麗な桜が近くで咲いているのかと周囲を見回して花びらと同じ色の桜の木を探す。すると、細道の終着点である場所に似た色を見つけ、私は急いでそちらへ向かう。
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