狂ったのは?
「彼女も恋人のことで悩んでいたようで、服の隙間から見えたいくつもの青痣が、その恋人に付けられた物だと知りました。通うごとに元気を無くす彼女に僕は思い切って言いました。『これ以上貴女が酷い目に遭うのは我慢出来ません。その恋人より私と一緒になりませんか?』と」

 視線を落としてハヤテさんは悲しく続ける。

「彼女はすぐに了承してくれました。しかし、それを最後に彼女は桜を見に来なくなりました」
「え、それって……」
「……彼女がどうなったのかは分かりません。それから一度も彼女に会うことはありませんでした」

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