あの日のつづき
ある日の家庭科の授業で視覚障害者体験実習があった。
グループ内で視覚障害者役と誘導役のペアをあみだくじで決めた。
思いがけず私は河合君とペアになった。
嬉しいはずなのに、素直に喜べなかった。
_本当は、あの子とペアが良かったんだろうな。
そんな複雑な思いを寄せながら、視覚障害者役になってアイマスクをした河合君の腕を引いた。
学ランをそっと握っただけなのに、指先から伝わる微かな体温に、ドキドキが止まらなかった。
交代して私が視覚障害者役でアイマスクを付けた。
真っ暗になった世界からさあ出発…と手を伸ばした次の瞬間、私の手はそっと握られた。
そして、指が絡められて、そのままゆっくりと引かれる。
前が何も見えない不安も手伝って、誘導役の時のドキドキとは比にならないドキドキを味わった。
視覚障害者体験の授業中に、こんな気持ちになるのは不謹慎だと思いながらも、込み上げてくる嬉しさは隠せなかった。