あの日のつづき

あの「ありがとう」は、何だったんだろう。

その先に、続きはあったのかな。

自分の気持ちを打ち明けられただけで満足だったはずの私の気持ちが、揺らぎだす。

どうしてちゃんと言わなかったんだろう。

「付き合ってください」って。

どうして聞かなかったんだろう。

彼の気持ちを。


答えは、わかってた。

「付き合ってください」の、その先の答えを聞くのが怖かったからだ。

そこから、逃げ出したかったんだ。

私が満足していたのは、自分の気持ちを打ち明けたことなんかじゃなかった。

物分かりの良い、空気が読める、大人びた自分を彼の前で演じたことに、満足してただけ。

言わない理由を、聞かない理由を、私はただ、河合君のせいにしてた。

他に好きな子がいるんだから…って。

それは思いやりでも何でもない。

身勝手な、自己満足。

ただ見ているだけでいいなんて、ウソだよ。


そんなことより、ちゃんと確かめればよかった。

_「他に好きな人がいるの?」

_「あの子のことが、好きなの?」

って。


諦めの悪い最低な女子と思われてもいいから、ちゃんとぶつければよかった。

_「私じゃダメかな?」

_「あの子、他に好きな子いるよ」

_「私には、1パーセントも可能性、ないかな?」

_「あの子のこと、好きでもいいよ。だから、付き合ってほしい」

_「私のこと、好きにさせるよ」

_「好きになって……ほしいな」

素直に、まっすぐ、そう伝えられたら、よかったのかな?


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